水海道さくら病院では、経産省事業の実証フィールドとして認知症への取り組みを始めています。このプログラムは、以下の3つのアプローチから構成されておりますので、その取り組みを連載ブログにて紹介させていただきます。
1、認知症にやさしいデザインの導入
2、現場の認知症ケア力向上のための研修
3、認知症ケア定着のための組織作り
前回は取り組みの全体像について紹介させていただきました。今回は、現場の認知症ケア向上のための研修として「AR体験」を行いましたので、その様子を紹介させていただきます。
認知症ARって何?と思われる方が多いと思います。これは、ゴーグルをつけAR(拡張現実)という特殊なフィルターを通して、リアルな環境で認知症高齢者の方が見ている世界を体験することができるものです。
早速ゴーグルをつけてAR体験しました。(※体験時の心の声です。)
「え?何これ。」最初のリアクション。まず、視界が狭い。暗い、よく見えない。
椅子に座ろうとしても上手く座れない。(距離感がつかめない)手で椅子を探しながらやっと座る。お尻が椅子からはみ出ているみたい。
横から声をかけられても姿が見えない。いざ歩き出そうとするも、すり足になる。足元にゴミ箱があることに気付かず蹴飛ばしてしまう。良かれと介助されても逆に怖い。(そんなに押さないでー)
床を見ると黒い穴のようなものがある。怖くて近づけない。水たまりのようなものも見える。
これらは、認知症高齢者の特徴である視野の狭窄やコントラストの感度の低下、奥行き感覚の低下などをARで再現したものになります。
この体験を通して、多くの認知症高齢者の方が感じている不安感や恐怖感を体感し、認知症の理解の促進や共感力に繋がる気づきを得ることができます。
また、今までのケアや環境面の振り返りになり、今後のケアや環境への配慮に繋げることができます。
この体験後のアンケートからも、認知症への関心度が高まり、理解度が深まり、共感度が高まったとの結果となっております。また、今までのケアの振り返りに繋がり、今後のケアに活かしたい新たな気づきがありました。
この認知症AR体験は、職種問わず病院スタッフ全員が体験し、病院全体として認知症ケアへの動機づけや関心度を高め、認知症ケアの向上に取り組んでいます。
次回は、AR体験で認知症ケアに関心が高まった状況で行った「座学研修」の様子を紹介させていただきます。
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